月次レポートで各媒体の CV を足すと、受注件数を超えている。誰も指摘しないが、会議に出ている全員が気づいている。
相談できること / テーマ 1
こんな状態になっていませんか
広告費を増やしても、受注は同じ割合では増えない。かといって減らすと売上が落ちる気がして、減らす判断ができない。
「指名検索の広告を止めたら売上が落ちる」と代理店に言われている。本当にそうか、確かめたことは一度もない。
なぜ起きるのか
媒体は、自分の管理画面で数えた CV を報告します。ブラウザの制限や同意管理、決済画面へのリダイレクトで計測から落ちた注文は数えません。一方で、広告を見なくても買っていた人は「広告経由」として数えます。この2つの誤差は逆方向に働き、どちらがどれだけ大きいかはサイトごとに違います。媒体ごとにコンバージョンの窓と定義も違うため、媒体の CV を足した数が受注と一致することはありません。それでも、予算の配分は媒体の数字で決まっていきます。
放置すると何が起きるか
増分のない配信に予算が残り、本当は効いている配信が計測欠損のせいで過小評価されます。獲得単価は上がり続け、「広告費は削れない」という判断だけが固定されます。獲得した顧客がその後いくら買うかを見ていなければ、獲得単価の上限は感覚で決まり、利益の出ない顧客を高い費用で集め続けることになります。
よくある対処と、それが効かない理由
アトリビューションモデルを変える
効かない理由媒体の管理画面の中で配分を変えているだけで、計測から落ちた注文も、広告がなくても買った人も、そのまま残ります。
代理店のレポートを詳しくする
効かない理由レポートの元データが媒体の CV である限り、詳しくなるのは同じ誤差の内訳です。
CPA の目標を一律に下げる
効かない理由将来価値の高い顧客を取るチャネルから先に予算が消えます。単価の安さと顧客の質は、多くの場合逆に動きます。

「なぜ」を、同じ表の上で話せるようにする。何が変わるか
受注と GA4 を注文 ID 単位で突き合わせると、計測から落ちている注文がどの端末・どのブラウザ・どの決済手段で起きているかが分かります。落ちている原因が実装か同意管理かリダイレクトかで、直し方は変わります。地域や配信群で分けて広告を止めると、その広告がなければ起きなかった売上だけが残り、媒体別の増分が分かります。獲得した顧客の将来価値を初回購入の時点で予測できれば、許容できる獲得単価を商品・チャネルごとに変えられます。予算の議論が「媒体の数字」から「自社の受注」に移ります。
進め方
GA4 の購入イベントと受注を突合し、計測欠損の規模と原因を切り分ける
計測の実装を直し、媒体の学習に正しい CV が渡る状態にする
地域分割または配信停止群で増分を測る実験を設計し、実施する
獲得チャネル別のコホートと将来価値の予測から、許容獲得単価を決める
初期診断で出すもの
最初の一歩
- ・GA4 の購入イベントと受注件数の乖離(期間・デバイス・決済手段別)
- ・媒体別 CV の合計と受注の差
- ・増分を測る実験に必要な地域・期間の条件
ここに挙げた項目は診断の候補です。データの有無と品質を確認して対象・提出物を合意します。確認できた事実と推定を分け、追加調査や実装が必要なものは別途整理します。
重点項目
このテーマで確認する観点
02 予測LTVに基づく商品・チャネル別の許容獲得単価
- 問い
- 獲得単価の目標は、顧客の将来価値に応じて変えられるか。
- 何が分かるか
- 初回購入時点の将来価値の予測と、チャネル・商品別の許容獲得単価。
03 獲得チャネル別のコホート追跡
- 問い
- 安い獲得単価のチャネルは、本当に得なのか。
- 何が分かるか
- 獲得月×チャネル別のリピート率と粗利回収までの期間。
04 既存顧客への新規獲得広告の無駄撃ちの可視化
- 問い
- 新規獲得の広告は、既存顧客にどれだけ当たっているか。
- 何が分かるか
- 既存顧客に配信されている新規向け広告の割合と、除外リストの精度。
22 検討期間の実態と、広告評価の窓の見直し
- 問い
- 初回訪問から購入まで、実際に何日かかっているか。
- 何が分かるか
- セッションを横断した購入までの経路と日数の分布。指名検索広告が自然流入を置き換えている割合。
相談
「データが揃っているか分からない」段階から、ご相談ください。
広告費を増やすか、配分を変えるか。受注と計測の違いから、判断の根拠を整理します。