UFCの防衛失敗が続く
先日のUFC195でクリス・ワイドマンとジョゼ・アルドが2人そろってタイトル防衛に失敗したが、最近王者が防衛に失敗する試合が多い。
- アンソニー・ペティス(UFC 185 vs ハファエル・ドス・アンジョス)
- ケイン・ベラスケス(UFC 188 vs ファブリシオ・ヴェウドゥム)
- ロンダ・ラウジー(女子バンタム級 UFC 193 2015/11/14 vs ホーリー・ホルム)
- クリス・ワイドマン(ミドル級 UFC 194 vs ルーク・ロックホールド)
- ジョゼ・アルド(UFC194 vs コナー・マクレガー)
アンソニー・ペティスは防衛は1回していないが、ロンダ・ラウジーは5回、ジョゼ・アルドは6回防衛してきた。2人ともUFCのパウンド・フォー・パウンドでも上位にいる選手なので、まさか負けるはずは多くのファンが思っていなかったでしょう。
一方、最近王者が防衛に成功した主な試合は以下になる。
- UFC193 ヨアナ・イェンジェイチック vs ヴァレリー・ルトーノー
- UFC192 ダニエル・コーミエ vs グスタフソン
- UFC191 デメトリアス・ジョンソン vs ジョン・ドッドソン
- UFC190 ロンダ・ラウジー vs ベチ・コヘイア
- UFCファイトナイト TJディラショー vs ヘナン・バラオン
- UFC189 ロビー・ローラー vs ローリー・マクドナルド
- UFC189 コナー・マクレガー vs チャド・メンデス
- UFCファイトナイト ヨアナ・イェンジェイチック vs ジェシカ・ペネー
- UFC187 ダニエル・コーミエ vs アンソニー・ジョンソン
- UFC187 クリス・ワイドマン vs ビクトー・ベウフォート
なぜ王者は防衛できなかったのか?
防衛に失敗した試合を分類すると、
- 油断
- 本来の実力
- 流れ・対策
の3つに分けられる。
1油断は、ジョゼ・アルドが当てはまる。2本来の実力ではアンソニー・ペティスのように、強いながらも経験や実力が足りず、ラファエル・ドス・アンジョスの方が元々強いというケースだ。
3流れ・対策がここ最近の特徴だろう。
過去6回も防衛してきたロンダ・ラウジーはサブミッション、投げなどを得意としており、ほとんどの試合が1Rで組み、投げからのサブミッションかパウンドで勝利している。誰もがこの流れに付き合ってはいけないと思うが、ロンダ・ラウジーの突進力に負けて首相撲から秒殺されていた。
ロンダ・ラウジーに勝利したホリー・ホルムはボクシング時代は18度世界王者に輝いた世界3階級制覇王者でボクシング界ではスーパースターだ。総合の戦績もこの試合前まで9戦全勝だが、一本勝ちは無い。これだけ得手不得手がはっきりしているからこそ、ロンダ・ラウジーと組み合わない事を徹底できた。
さらに、ロンダ・ラウジーは過去2R以上戦ったのがミーシャ・テイトとの防衛戦の1度しかなく、この時も2R以降は動きが鈍っていたのが明らかだった。それに対して、ホリー・ホルムは逆に1R勝利が無く、判定も3試合あることからも長期戦にもつれれば勝機があると計算していたのだろう。この試合では左ストレートやミドルキックを放って距離を保つロリー・ホルムの戦い方に、ロンダはなかなか入り込めず逆に被弾してダメージを受ける場面が多かった。
ケイン・ベラスケスやクリス・ワイドマンもレスリングスタイルからのパンチを得意とするが、2人とも敗れた試合では得意の形に持ち込めずに痺れを切らして相手の得意コースにはまってしまった。
ベラスケスに勝利したファブリシオ・ヴェウドゥムはブラジリアン柔術や柔道の有段者でアブダビコンバット99kg以上級とブラジリアン柔術世界選手権を優勝し、エメリヤーエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラから一本勝ちを収めた唯一の選手である。19勝のうち半分の10勝が一本勝ちである事からもわかるように寝技のスペシャリストだ。ベラスケスはテイクダウンからのマウントが得意でも下手に寝技に持ち込むと下からでも三角締めで逆にヴェウドゥムの餌食になってしまうため、なかなか仕留められない。逆にヴェウドゥムのパンチでスタミナを奪われ、最後は苦し紛れにタックルに行った際にギロチンチョークで敗れてしまった。
クリス・ワイドマンも同様に痺れを切らして不用意な攻撃から逆にルーク・ロックホールドに詰められてしまった。今後のタイトルマッチ
今後のタイトルマッチはすでに以下が発表されており、いずれも見応えのある試合が予想される。
- ハファエル・ドス・アンジョス vs ドナルド・セローニ(ランキング2位)
- ロビー・ローラー vs カルロス・コンディット(ランキング4位)
- TJディラショー vs ドミニク・クルーズ(ランキング1位)
- ファブリシオ・ヴェウドゥム vs ケイン・ベラスケス(ランキング1位)
注目はディラショーvsドミニク・クルーズ
なかでも注目はTJディラショーvsドミニク・クルーズのバンタム級タイトルマッチだろう。ディラショーは半年ぶり、ドミニクは1年4か月ぶりの試合で、両者の試合勘が懸念されるが、レスリングを主体としてテイクダウンからの打撃を得意とするディラショーが、無尽蔵なスタミナとオーソドックスとサウスポーの両構えから相手の打撃を的確にかわしながら独特のリズムで変幻自在のパンチを繰り出すドミニクをどう抑えるかがポイントだ。
TJディラショーとチームメイトのユライア・フェイバーがドミニクと過去に対戦しており研究は十分、なはずだったが、
2015年10月にTJディラショーはチームを移籍。しかも元のチームを非難してしまったために、ユライアとの関係も決裂。これがどう影響するかも注目だろう。]]>
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