ヘナン・バラオンといったUFCでは長期政権を築いた王者が陥落する事が最近起こっている。
UFC最強のジョーンズに無敗のコーミエが挑む
UFC165ではアレクサンダー・グスタフソン、
UFC172ではグローバー・テイシェイラといった難敵の挑戦を退け、UFCライトヘビー級王座を7度も防衛中で、階級をまたいでの最強を意味するパウンド・フォー・パウンドで1位に君臨している。
今も長期政権を築いている王者はこのジョーンズとフェザー級のジョゼ・アルドくらいである。
「絶対王者、UFC最強と呼ばれるジョーンズを倒せるのは、グスタフソンしかいないのでは?」
UFCファンの間ではそんな話題すら上がり、実際、ジョーンズがテイシェイラを倒して7度目の防衛を果たした後にグスタフソンとの再戦が組まれるはずだった。
しかし、ジョーンズの一言ですべてが変わった。
「グスタフソンより、ダニエル・コーミエと試合がしたい」 これがきっかけで、ジョン・ジョーンズの8度目の防衛戦の相手はダニエル・コーミエとなった。
15戦無敗、遅咲きの元五輪選手コーミエ
ダニエル・コーミエは35歳でUFC初のタイトルマッチで、しかも総合格闘技の戦績はわずか15戦しかない。通常、年間3~4試合するのが一般的な総合格闘技において、これだけキャリアが浅いのは、コーミエが総合格闘技を始めたのが30歳になってからだった。(ちなみにライト級のドナルド・セラーニは2013年、2014年の2年間に8試合もこなしている)
しかも、UFCでの初試合も33歳でわずか4試合しか経験していない。
とはいえ15戦無敗で、UFCではフランク・ミア、ロイ・ネルソン、ダン・ヘンダーソン、その前のStrikeforceではジョシュ・バーネットやアントニオ・シウバといった名だたる選手相手に完勝している。
その強さのベースにはわけがある。コーミエは元レスリング選手でオリンピックにはアテネ、北京と2度出場し、アテネオリンピックでは4位になっている実力者だったのだ。北京オリンピックでは腎不全により不戦敗となり、レスリングから引退した。
稀に見る舌戦、ナイキのスポンサーも打ち切り
ジョーンズとコーミエはUFC187(2014年9月27日)での対戦が決まると、インタビューやTwitterなどで互いを口撃。壮絶な舌戦を繰り広げた。
そして記者会見では取っ組み合いの喧嘩となり、会場のバックボードが壊れるなど大混乱を招いた。
結局、ジョーンズは50,000ドルの罰金に加え、スポンサーだったナイキからも契約の打ち切られてしまった。※一方のコーミエは9,000ドルの罰金
ジョーンズの負傷により延期となったタイトルマッチ
ところが、ジョーンズの負傷により試合がUFC182(2015年1月4日)に延期になってしまった。ジョーンズは8ヶ月ぶり、コーミエも7ヶ月ぶりの試合となったが、お互いブランクは感じさせない。
1Rはジョーンズがテイクダウンに成功するも、コーミエはリーチ差を解消するために積極的に前に出て首相撲からアッパーやフックを放つ。終盤にジョーンズは飛び膝蹴りを放つもコーミエは防ぎ、決定的な差は無いまま終える。
2Rもコーミエは接近戦でアッパーやフックを狙うも、ジョーンズは前に来るコーミエの首を抱えてギロチンチョークや肘打ちで対抗。
ジョーンズは2011年にリョート・マチダを立ったままの状態からギロチンチョークで1本勝ちを取っている。 さらにジョーンズは得意の相手の膝への前蹴りでコーミエの突進を防ぐも、コーミエはアッパーの連打でジョーンズをふらつかせることに成功。ジョーンズは動きが鈍くなる。最後までコーミエがアッパーやフックでジョーンズを仕留めにかかるも有効打にならず終了
3Rはジョーンズが片足タックルに行くも耐えたコーミエがすぐさま逆に片足タックル。ジョーンズもこれを防ぐ。ジョーンズが肘アッパーの奇襲を放つも実らず。コーミエが接近戦を挑もうと徹底的に前に出るのに対して、ジョーンズは首相撲やクリンチでコーミエのアッパーを防ぐ。終盤にジョーンズの飛び膝が決まるも、コーミエはひるまずに接近戦でパンチを繰り出す。
終了間際にジョーンズが飛びつき三角締めを狙うも実らず、倒れたジョーンズにコーミエが上からパンチを放つもすぐに終了。
4Rに入るとコーミエのスタミナが切れたのか勢いが落ちる。それを見逃さないジョーンズは1分にフェンス際に追い詰めたコーミエの両足を抱えてテイクダウンを2度成功させる。
これでコーミエはメンタルや思考力が落ちたのか、動きが止まる。ただ、ジョーンズも攻め手を欠き、ダウンまでは奪えない。しかし、終了間際にコーミエを投げてこのラウンドにコーミエに何もさせなかった。
5Rも4R同様にジョーンズがフェンスに押し付けるもこう着状態が続き時間が過ぎる。残り3分くらいから反転してコーミエが押し込もうとするもジョーンズは耐えて引かない。押し合い合戦が続き、コーミエがフェンス際で片足タックルをしかけて、ジョーンズを投げるもジョーンズはすぐに立ち上がる。その後もコーミエが片足タックル、ジョーンズはギロチンチョークを狙うもどちらも決まらずに終了。
判定は3人とも49-46でジョーンズが8度目の防衛に成功。ジョーンズは21勝1敗となり、コーミエは総合格闘技で16戦目にして始めての敗北となった。
4Rはジョーンズが明らかに獲っていたが、実際はそこまでの開きは無かった。
ただ、コーミエが明らかにとったラウンドはほとんど無かったので、印象付けられ無かったのが原因か。。。
試合後、ジョーンズがまさかの薬物反応
ところが試合後、ジョーンズは薬物検査でコカインの代謝物であるベンゾイルエクゴニンが検出されていた事が発表され、ジョーンズはコカインの使用を認め、薬物治療のための施設に入る事となった。
これによって、ライトヘビー級の王座はどうなるのか?
もし、暫定王者決定戦が行われるのであれば、2015年1月25日にストックホルムで行われるUFC182.5ではランキング1位のグスタフソンと3位の
アンソニー・ジョンソンが対戦するので、この勝者とコーミエが争うのではないでしょうか?
今後のジョン・ジョーンズとライトヘビー級戦線の行方に注目です。
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