世界で最も熱いと言われるセビージャ・ダービー。サンチェス・ピスファンで行われたセビージャvsベティス戦は、昨シーズンに続き、今シーズンもホームのセビージャが大勝した。
それにしても会場の雰囲気が狂ったように殺気立っているためか、前半は選手たちも激しいぶつかり合いや挑発が多かった。
セビージャはそれをうまく利用したが、ベティスその熱さにブレーキをかけられなかった。
【勝負の分かれ目】ベテランのレジェスの狡猾な活躍
セビージャダービーが開催される1週間前から、セビージャの街中はダービーの話題で持ち切りになるというだけあって、当日のスタジアムは熱気というより殺気が満ち溢れた異常な雰囲気で包まれていた。
そのような状況で選手たちはある意味飲み込まれてテンションが高くなってしまったが、その中でも相手をよく見ていたのがベテランのレジェスだった。
開始早々のバッカの先制点をアシストした際も、裏へ抜けるのが得意なバッカとコンパクトな守備でDFラインを上げるベティスの守備陣の特徴を見抜き、ほぼノールックパスでDFラインの裏へパスを通した。
先制したことでさらに前がかりになるベティスに対してセビージャはバティージョ、ベルドゥらベティスの攻撃の起点となる選手をしっかり抑え、逆にスペースを生て素早いカウンターを仕掛ける。
そして、この試合のポイントとなったのが前半41分のベティスのCBパウロンの退場だろう。中盤でレジェスがカウンターを仕掛けてパウロンをかわそうとした際に、パウロンが手を出して倒してしまい、2枚目のイエローカードをもらってしまう。
この直後のFKでエムビアが強烈なヘディングシュートを決めて2-0とすると、ベティスは意気消沈してしまう。
後半に入っても試合の主導権はセビージャが握り、59分にはビトロがダメ押しとなる3点目を決め、昨年に続いてホームのダービーを大勝した。
【セビージャの改善点】遅攻での中盤のパスワーク
大勝したとはいえ、この日は前に気持ちがはやるベティスをいなしたというのが正直なところだ。この試合も含め今シーズンはカウンターが決まっており、この要因の1つが裏へ抜けるのが得意なバッカを生かせるようになったからだろう。
その反面、遅攻になると前線で的になれる選手がいない事と、中央のラキティッチしか攻撃を組み立てられないので、ラキティッチが高い位置でフリーになれないとチャンスを作れない。
それを改善するにはボランチのエムビアやイボラが攻撃陣のフォローに入り、展開できる事が必要だ。
【べティスの改善点】攻撃時のリスクマネジメントと90分のバランス
今シーズンのベティスは全体的にコンパクトに守り、攻撃では個の力を生かして積極的な仕掛けをするが、シュートで終われずに中盤で奪われてしまいカウンターから失点するケースが目立つ。
特に攻撃の司令塔であるベルドゥが不調で、左サイドのバティージョが得意のドリブルで突破口を見出そうとするも警戒されており、前線のホルヘ・モリーナにボールが渡る回数も少ない。
ホルヘ・モリーナは得点力がある選手なので、SBを使ったサイドからの崩しやボランチのノノやシャビ・トーレスによる逆サイドへの展開などで、カウンターを避けた攻撃を増やしていくべきだ。
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