カナダのノバ・スコーシア州ハリファックスにあるスコーシアバンク・センターで開催されたUFC FIGHT NIGHTにて、ウェルター級2位のカナダ出身のローリー・マクドナルドが、元ストライク・フォース王者で現UFCウェルター級9位のタレック・サフィジーヌと対戦した。
マクドナルドが格下のサフィジーヌに圧勝
第1ラウンド、マクドナルドが近距離での打ち合いからテイクダウンを奪い、試合の主導権を握る。第2ラウンドに入るとサフィジーヌも反撃するが、マクドナルドはサフィジーヌの攻撃をものともせず、逆に攻勢に出てサフィジーヌを圧倒し、試合を極めにかかるも仕留め切れずに終了する。
第3ラウンド、実質後がないサフィジーヌが序盤から猛烈に仕掛ける。だが、マクドナルドは左アッパーでサフィジーヌの動きを止めると続けてパンチを連打して試合を決めた。
大方がマクドナルドの勝利を予想していたが、期待にこたえる試合内容だった。
順風満帆もローラーに敗れて王座戦線から後退
ローリー・マクドナルドは若干16歳で総合格闘技デビューを果たすと、その後4年半、10戦全勝と順風満帆にエリート街道を進んできた。
11戦目で元WEC王者で日本でもパンクラスに参戦経験のあるカーロス・コンディットに敗れて初黒星を喫したものの、マクドナルドは落ちぶれることなく、その後はネイト・ディアスやBJ・ペン、ジェイク・エレンバーガーら強豪を次々倒し、「総合格闘技界のホープ」、「将来のUFC王者」とまで言われ、UFCウェルター級王座のジョルジュ・サンピエールへの対戦も近いと誰もが予想していた。
あと1試合勝てばUFCウェルター級王座に挑戦できるところまで来たが、2013年11月のUFC167でロビー・ローラー戦で思わぬ落とし穴が待ち受けていた。
ロビー・ローラーは今でこそランキング1位だが、31歳にして総合格闘技31戦のベテランで、10年前はUFCで戦ったものの4勝3敗と結果を残せず契約切れとなった事がある。その後もPRIDEやEliteXC、StrikeForceなどを転戦したが、王者にはなっていない。
2013年に8年ぶりにUFCに復帰したときも、いつ切られるかがわからないほど期待されていない状況だった。
UFC復帰戦となったUFC157でウェルター級ランキング8位のジョシュ・コスチェック戦では1ラウンドに強烈なパンチでTKO勝利してノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞すると、続く2013年7月の第2戦ではボビー・ヴォルカー相手に2ラウンドでKO勝利を奪い、マクドナルドとの対戦が決まった。
崖っぷちのベテランファイターのローラーを勢いに乗る若手のマクドナルドがどう料理するか?マクドナルドが勝利する予想が多かった。
綺麗に試合を進めようとするマクドナルドだったが、泥臭くパンチやキックを出し続けるローラーにダウンを奪われてしまい、マクドナルドはまさかの1-2の判定負けを喫してしまう。
奇しくも、同日のメインイベントでは王者のジョルジュ・サンピエールはジョニー・ヘンドリックスを僅差で退けたものの王座を返上。この空位となったウェルター級王座をかけて争ったのがローラーとヘンドリックスだった。
UFCウェルター級はもしかしたらカナダ人のジョルジュ・サンピエールから同じカナダ人のローリー・マクドナルドへ受け継がれるかもしれなかったが、マクドナルドのまさかの敗戦で、世間が予想もしなかった展開に動いてしまった。
見事な復活劇で王座挑戦権を獲得?
ロビー・ローラーに敗れて総合格闘技で2敗目を喫したローリー・マクドナルドだが、1敗目と同じくここから目覚ましい復活劇をみせる。
圧巻だったのは2014年6月に行われたUFC174でのタイロン・ウッドリー戦だった。ウッドリーは強靭な肉体から繰り出す高速パンチの連打が武器でジョシュ・コスチェックを壮絶なTKOで勝利したり、マクドナルドに勝利しジョルジュ・サンピエールとも互角に戦ったカーロス・コンディットにも勝利するなど、2013年で最も勢いのあるファイターだった。
しかし、マクドナルドは前回のローラー戦で自分の主導権を握り続ける事の大切さを学び、猛進型のウッドリーに対して前蹴りで一気に突っ込ませないようにすると、ショートパンチを連発しでウッドリーに何もさせずに3人のレフリーが30-27とフルマークの完勝を収める。
2015年のタイトルマッチは決定的
ロビー・ローラーに敗れてから11か月。UFC FIGHT NIGHTにてサフィジーヌ戦に勝利して、3連勝でランキングも2位まで上げた。
12/6のUFC181のメインイベントではウェルター級王者のジョニー・ヘンドリックスにランキング1位のロビー・ローラーが再び挑むが、この勝者への挑戦権をマクドナルドはアピールした。だが、アピールをしなくてもマクドナルド以上の挑戦者はこのウェルター級にはいない事は誰もがわかっている。
「将来のUFC王者」が本当に王座に就くのか?順当にいけば2015年の春ごろにはその姿が見られるかもしれない。]]>
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